極貧行政書士の増加

行政書士を取り巻く環境と今後の展望

廃業する行政書士が多いのにはワケがあります。

 

 

たとえば会社設立業務にスポットを当てて、考えてみる事としましょう。
年度によって多少の差はありますが、およそ年間に設立する法人は7〜8万社だといわれています。
それを全国にいる行政書士43000人で割りますと、一人当たりの受注件数は2件以下ですね。

 

 

つまり、平均的な行政書士は会社設立の仕事を年間2件も取れないということです。

 

 

もちろんこんな簡単な構図ではありませんし、そもそも会社設立業務をメイン業務にしていない行政書士も多くいます。

 

 

しかも、リーマンショック以来の長引く不況で、
本人申請が増えていることは確かです。

 

 

株式会社や合同会社の設立など、
多少の煩わしさはあるものの、法律知識に疎くても
自分でヤル気があれば、公証人役場や法務局で済ますことは
何ら難しいわけではありません。

 

 

むしろ気になるのが、平成12年改正された行政書士法で、
「行政書士の受ける報酬基準に関する規定」が削除されたことによる、
報酬単価の自由設定です。

 

 

つまり、各行政書士は業務の単価を自分勝手に決めてよいと言うことです。

 

 

これによって行政書士の報酬単価は下落傾向にあるということです。
しかも、現在進行形です。

 

 

例を挙げますと、平成20年頃は株式会社設立業務の平均報酬額は10万が相場でしたが、昨今ではおよそ半分の5万円ぐらいが平均です。

 

 

クライアントからすれば10万が半分の5万になって歓迎するべきことですが、行政書士からしますと、月に50万の売上げを上げるために、以前は5社で済んだのが、今日では10社のオファーがないといけなくなったということです。

 

 

仕事が取れない駆け出し行政書士が、
たいしたバックエンドもないままに、単純に仕事欲しさで安価な報酬額で請け負うケースも目立つようです。

 

 

一度下がった水準はを元に戻すのは大変です

 

 

クライアントからすれば、どの行政書士に依頼しても、会社設立することさえ整えば良いわけですから、結果が異なるわけではありません。

 

 

だったら安いに越したことはないのです。

 

 

安価な価格で会社設立を請け負う行政書士の中には、バックエンドで融資の相談や、助成金申請、会計記帳などを目論んでいると思いますが、
すべての経営者がそれを必要としているわけでもありません。

 

 

インターネットが普及した昨今では、ホームページさえ作れば24時間営業してくれるようなことが書かれていますが、裏を返せば、クライアントは多くの行政書士の報酬はもちろん、ディテールに渡るまで、比較検討できます。

 

 

特別な縁故がない限り、近場で安価な報酬で済む行政書士を探すことは、
経営者として当然のあるべき姿です。

 

 

報酬単価の下落傾向は会社設立だけではなく、すべての行政書士の業務全般に起きていますし、行政書士だけではなく、税理士や司法書士や社労士の世界にも起きています。

 

 

行政書士を取り巻く環境は正直より厳しくなるばかりでしょう。

 

 

インターネットの普及は諸刃です

 

 

なので、向こう10年ぐらいにかけてどの士業者においてもある程度の自然淘汰が容赦なく進行すると思われます。

 

 

10年ほど前ぐらいからどんな難関資格でも、資格を取っただけではメシが食えない時代は既に訪れています。

 

 

こういう時代の趨勢をチャンス到来!!と考える方もいます。

 

 

いずれにせよ弱肉強食の世界が更に熾烈を極めるのではないかと思います。

 

 

行政書士の既存業務のパイは限られています。
各自がお客さんから歓迎されて喜ばれる新たな業務を創造してかない限りは生き残れずに廃業することはどなたが考えてもお分かりいただけると思います。

 

 

言うのは簡単ですが、新たな業務を見つけることが難しいから多くの方が廃業するのです。

 

 

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実務と乖離した行政書士試験と合格後の有資格者の悩み

 

 

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